山内貴暉 – 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp Tue, 19 Mar 2024 05:22:06 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.8.1 https://edist.ne.jp/wp-content/uploads/2019/09/cropped-icon-512x512-32x32.png 山内貴暉 – 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp 32 32 185116051 維摩!モーマク?背負投げ!?52[破]”出世魚”教室名発表!【83感門】 https://edist.ne.jp/list/83kanmon_52ha_gyogyogyo/ https://edist.ne.jp/list/83kanmon_52ha_gyogyogyo/#respond Sun, 17 Mar 2024 14:00:25 +0000 https://edist.ne.jp/?p=69212 鼻はムズムズ、目はショボショボ、花粉の季節は一大事。追い打ちをかけるような全身ウズウズの一大事が、イシス編集学校の春を告げる。感門之盟の名物コーナー「”出世魚”教室名発表」だ。イナダがブリへ、コッパがスズキへと名前を変えるように、[守]師範代から[破]師範代へのさしかかりであらたな教室名が贈られる。4月22日スタートの52[破]にはどんな教室名が並ぶのか、松岡正剛校長による世にも奇妙なネーミング編集をギョギョギョ~とご覧あれ!

 


第83回感門之盟「EDIT TIDE」Day2  52[破]出世魚教室名


 

◆高田智英子 師範代

語部おめざめ教室

語部ミメーシス教室

 

 

◆石井晴美 師範代 

変速シフト教室

変速背負投げ教室

 

 

◆矢倉芳夫 師範代

全階目ぐすり教室

全階モーマク教室

 

 

◆登田伸枝 師範代

変成ミネラル教室

ミネラル息吹教室

 

 

◆束原俊哉 師範代

一月二十五日教室

四一・一・二五教室

▲束原師範代と松岡校長はともに1月25日生まれ。[破]では束原師範代の生まれ年「四一」がついた。

 

 

◆畑本浩伸 師範代

いつもトンネリアン教室、近場のダイモーン教室

ダイモーン維摩教室

 

 

◆新坂彩子 師範代

異次元イーディ教室

イーディQ+教室

 

 

◆稲森久純 師範代

釣果そうか!教室

蝶か釣果教室

 

 

◆渋谷菜穂子 師範代

ポンヌキ・ハイボール教室

ポンヌキ和華蘭教室

 

 

◆柳瀬浩之 師範代

ジャイキリ魔球教室

魔弓マイスター教室

 

 

こんなにチャーミングな師範代たちと泳ぎ回れる春夏は52[破]だけ。どうぞスイスイ~とお進みください。

 

■第52期[破]応用コース

稽古期間:2024年4月22日(月)~ 2024年8月11日(日)

☆申込締切:4月7日(日)

https://es.isis.ne.jp/course/ha

 

アイキャッチ画像:穂積晴明

出世魚ムービー:山内貴暉

]]>
https://edist.ne.jp/list/83kanmon_52ha_gyogyogyo/feed/ 0 69212
【学生必見!】エンジニアをめざしてイシス編集学校でインターンしませんか? https://edist.ne.jp/just/isis-engineer-intern/ https://edist.ne.jp/just/isis-engineer-intern/#respond Mon, 04 Mar 2024 23:45:41 +0000 https://edist.ne.jp/?p=68050 エディスト編集部から、学生の皆さんに耳寄り情報のおとどけです。

 

2024年春、編集工学研究所のイシス編集学校チームで、インターンを募集することになりました。今回は、特にエンジニアに興味・関心のある学生を歓迎します。

 

インターンとして参加していただく方には、イシス編集学校の事務局機能を担う学林局のプロジェクトに関わっていただきます。事務局といっても、活動は本当に多岐にわたります。講座運営、イベント、デザイン、映像編集、ウェブ制作、ウェブ管理、書籍化、システム運用、広告・宣伝、広報、外部とのプロジェクト、プロジェクト・マネジメントなどなどなど。仕事の内容は様々ですが、やる気さえあれば、初めてでも大丈夫です。スタッフと一緒に動きながら、仕事を覚え、プログラミングを学んでいっていただきます。

 

まずは以下のようなステップを体験いただきます。

・学校主催の各種イベントのサポート

・イシス編集学校の講座について学ぶ

・その後、プログラミングの学習・社内システムの開発等のサポート

 

編集学校でインターンとして仕事をするということは、「編集工学を学ぶこと」そのものです。「編集工学」は、編集工学研究所所長であり、イシス編集学校校長の松岡正剛が創始しました。ここでは、すべてのプロジェクトに、編集工学の考え方が取り入れられており、これをベースに思考し、行動し、表現していきます。ですので、ぜひ「編集工学」に関心のある方が志望してくださることをお待ちしています。もちろん、わからないことや困ったことがあれば、スタッフたちがサポートします。

 

仕事や学びの要素だけでなく、プロジェクトには楽しめる要素もたくさんあります。例えば、開催されるワークショップやイベントも、魅力いっぱいです。ワークショップでは、2万冊の蔵書を誇るブックサロンスペース本楼で、参加者を招いて本を使ったブック・ワークを実施したり。イベントでは、編集工学研究所著『情報の歴史21』(という分厚い歴史ガイドブック)を使って、各界著名人を招いてお話をおききしたり。とにかく知的刺激まんさい、好奇心をくすぐる活動ばかりです。毎回、スタッフはイベント・クルーとして、イベントの下準備、司会、参加者のエスコート、テーブルコーチ、音響・映像・写真、オンライン配信など、マルチに活躍します。そんななかで、もしかしたら、松岡正剛校長から直接アドバイスやフィードバックをもらう機会もあるかもしれません。

 

編集学校チームでは、過去に2人の学生が、インターンを経て正社員になりました。彼らは、学生の頃に編集学校で学び、そこで興味をもってインターンを始めました。今では日夜スタッフとして力を発揮しています。若いながらも責任ある仕事を任されていて、日々成長しています。

 

ここで、その2人を紹介します。

 

◆デザインの若きエース、穂積

大学在学中にイシス編集学校の基本コース[守]を受講。その際に興味をもって、インターンに参加。はじめは大手化粧品会社から依頼を受けたプロジェクト・チームに入り、サポート。編集学校の難関コース[離]を終えたのちに、デザイナーになると道を決める。今は編集学校のデザイン・ワークを一手に引き受け、作品をつくり続けている。

◇穂積を知る:

・イシスをDAN ZENにする7人【iGen001】穂積晴明 外郎売りからDJまで 多芸多才のデザイナー

【オツ千 編集力vol.30】デジタル編集装置の夢(1479夜 ルー・バーナード、キャサリン・オキーフ、ジョン・アンスワース『人文学と電子編集』)

【オツ千vol.55 外伝】ムナーリでペアーノなデザイン探訪

 

◇仕事ポートフォリオの一例:

 

ビジネス・パーソンを対象にしたリベラルアーツ・プログラム「ハイパーエディティングプラットフォーム[AIDA]」のロゴ、イメージ画像、空間デザインは穂積が担当する

 

松岡正剛校長の著作『知の編集工学』(増補版)の装丁は、穂積によるデザイン・ワーク

 

 

◆編集に恋焦がれ獲得した道、山内

山内貴暉

大学受験の試験問題となっていた松岡正剛の著作に高校時代に出会い、編集工学を知る。大学在学中にイシス編集学校へ入門。応用コース[破]受講時から、イベント『情報の歴史を読むシリーズ』に足しげく通い、編集工学研究所で働きたいことを熱心にアピール。インターンとして関わるようになり、さまざまなサポート業務を経て、映像編集という得意を認められる。現在は画像編集、映像編集で腕を伸ばすべくプロジェクトにあたる。

◇山内を知る:

推し活の始まりはいつ? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(1)

セイゴオLOVEな若者・51[守]のウォーミングアップ!【本楼ツアーレポ】

 

◇仕事ポートフォリオの一例:

ハイパーエディティングプラットフォーム[AIDA]の中で、ビジネス・パーソンを対象に、学林局 吉村堅樹 林頭が行った編集工学の講義”義疏”を、1分動画にまとめた。

 

 

さあ、あなたも、編集学校チームに参加して、編集工学の世界を体験してみませんか。エンジニア志望者を優先しますが、興味・関心のある方はぜひお問い合わせを。応募方法や条件などの詳細は、以下のリンクからご覧ください。ご応募をお待ちしています!

 


 

編集で社会の未来を切り開きたい人、募集中

 

募集要項はこちら

 


 

]]>
https://edist.ne.jp/just/isis-engineer-intern/feed/ 0 68050
イシスDO-SAY 2023年5月 https://edist.ne.jp/list/isis_do-say_202305/ Sun, 30 Apr 2023 00:00:11 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=56713 松岡正剛が校長をつとめるイシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。

 

 4月30日は基本コース[守]の申し込み締め切り日です。この春から、新しい自分にアップデートしてみませんか。

 

応用コース[破]を修了している方には、『多読ジムスペシャルコース今福龍太を読む』がおすすめです。

 

では、5月も皆さんとともに、アレコレDOしてSAYしていきます。「イシスDO-SAY」 5月号をどうぞ。

(今月のカバー写真は、5月の季語「すぐり」)

 

 

【2023年5月】

 

2023年5月8日(月)基本コース第51期[守] 開講
基本コース[守]が開講。情報編集にまつわる38の型を学ぶ4か月をお楽しみください。

 

▶関連情報 お値打ち?身内?角打ちも? 林頭直伝!イシスを薦める4つの方法
▶関連情報 <速報>春の「不足」を編集する方法【51守伝習座 学匠・律師メッセージ】

 

★まだ間に合う!!お申込みはこちらから

 

 

 

2023年5月13日(土)第39期花伝所 入伝式

ISIS花伝所では、道場で師範の指導を受けながら、インタースコア編集力を身につけるための5つのMを徹底的に鍛錬する。開講日には全員が集う入伝式が行われる。

 

▶ 関連情報 37[花]入伝式 松岡校長メッセージ 「稽古」によって、混迷する現代の再編集を
▶ 関連情報 [週刊花目付#001] 解釈の冒険、あるいは表象の発見
▶ 関連情報 ステージングを駆け抜けろ!キワで交わる、律動の39[花]ガイダンス。

 

 

2023年5月21日(日)[破]AT賞〆切

[破]で開催される「アリスとテレス賞」(AT賞)の締め切り日。

 

▶ 関連情報 編集用語辞典 04 [アリスとテレス大賞]

▶ 関連記事 44[破]AT物語・アリス大賞受賞対談―別院で自分の名前を見つけて―

 

 

2023年5月25日(木)『多読ジムスペシャルコース 今福龍太を読む』 申込締切日
著者との開講セッションを経ての共読&探求、著者自ら受講生の作品を審査講評する修了式。イシスでも異彩を放つ講座[多読SP]が6月4日、開講する。2021年秋「大澤真幸を読む」、2022年秋「村田沙耶香を読む」に続く第三弾は「今福龍太を読む」だ。対象は突破者以上。


【募集◆定員30名】

「今福龍太を読む」 多読スペシャル第三弾


2023年5月28日(日)AT賞[破]選評会議
[破]で開催される「アリスとテレス賞」(AT賞)の選評会議を開催。

 

▶ 関連記事 編集用語辞典04[アリスとテレス大賞]

▶ 関連記事 アリストテレス賞選評会 42[破]

 

 

2023年5月28日(日)日本哲学シリーズ輪読座「幸田露伴を読む」第2回開催

4月からはじまった今期の輪読座のテーマは、「幸田露伴」。どうして、今、幸田露伴〈1867~1947〉を読むのか。詳細はこちら

輪読座は、今からでも途中参加が可能です。ご参加希望の方はお問い合わせください。

 

詳細・お申し込みはこちら

露伴を読まずに日本を語るなかれ!「輪読座」4/30開講! 

 

 


過去のDO-SAY

イシスDO-SAY 2020年1月】 

イシスDO-SAY 2020年2月】 

イシスDO-SAY 2020年3月】 

イシスDO-SAY 2020年4月】 

イシスDO-SAY 2020年5月】 

イシスDO-SAY 2020年6月】 

イシスDO-SAY 2020年7月】 

イシスDO-SAY 2020年8月

イシスDO-SAY 2020年9月】 

イシスDO-SAY 2020年10月】 

イシスDO-SAY 2020年11月】 

イシスDO-SAY 2020年12月】 

イシスDO-SAY 2021年1月】 

イシスDO-SAY 2021年2月】 

イシスDO-SAY 2021年3月】 

イシスDO-SAY 2021年4月

イシスDO-SAY 2021年5月

イシスDO-SAY 2021年6月

イシスDO-SAY 2021年7月

イシスDO-SAY 2021年8月

イシスDO-SAY 2021年9月

イシスDO-SAY 2021年10月

イシスDO-SAY 2021年11月

イシスDO-SAY 2022年1月

イシスDO-SAY 2022年2月

イシスDO-SAY 2022年3月

イシスDO-SAY 2022年4月

イシスDO-SAY 2022年5月

イシスDO-SAY 2022年6月

イシスDO-SAY 2022年7月

イシスDO-SAY 2022年8月

イシスDO-SAY 2022年9月

イシスDO-SAY 2022年10月

イシスDO-SAY 2022年11月

イシスDO-SAY 2022年12月

イシスDO-SAY 2023年1月

イシスDO-SAY 2023年2月

イシスDO-SAY 2023年3月

イシスDO-SAY 2023年4月

 

]]>
56713
セイゴオLOVEな若者・51[守]のウォーミングアップ!【本楼ツアーレポ】 https://edist.ne.jp/post/honrou_tour_2023apr/ https://edist.ne.jp/post/honrou_tour_2023apr/#respond Fri, 21 Apr 2023 14:58:32 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=56148 花粉が飛び、黄砂が飛び、ミサイルが飛び、次はなにが飛んでくるのかと思ったら、ふたりの若者が飛んできた。17歳の女子高生・細谷さんと20歳の音大生・夛田さんだ。出迎えるは、松岡正剛好きが昂じて彼女を残して編集工学研究所(略称:編工研)の近所に移り住み、編工研でインターンをしてきた22歳・山内貴暉。Z世代の若者3人が世田谷豪徳寺の本楼(ほんろう)に集い、初の山内プレゼンツ・本楼エディットツアーがはじまった。

 

 

 

▼女子高生の“ヤバイ”

壁は本棚、柱も本棚。天井以外は本で埋め尽くされている本楼は、編工研1Fにある異次元の知の森だ。本の並びは通常の図書分類とはまったく異なる松岡正剛流。どこにどんな本があるのか、山内の本棚語りに聞き入ったあと、2万冊の本のなかから1冊を選んでくるように言われたふたり。ぐるぐると歩き回り、はしごも登って細谷さんが手を伸ばしたのは、青地に金の文字や図柄が映える『近松浄瑠璃集 中』(有朋堂書店)だ。装丁の美しさに心惹かれて選んだ。ふだんから絵を描くことが好きで視覚情報に敏感だという。

 

 

細谷さん、実は今年1月の本楼エディットツアーにも参加していた。再訪の理由を尋ねると「楽しかったから」とにっこり。どうやってイシス編集学校を知ったのだろうか。

 

ある本屋の店員さんが、松岡正剛さんの雑誌『遊』がいいと紹介してくれたんです。実際に見たら表紙がよかった。いまの雑誌はだいたいダサく見えるけど、あれはダサくなかった。

 

松岡校長には『17歳のための世界と日本の見方』という著書があるが、17歳の女子高生が松岡正剛を知ったきっかけはこれではなく、絶版で入手もしづらい『遊』というのが驚きだ。

 

そのあと千夜千冊をはじめて見たときはヤバイのがあると思いました。ネットに転がっているホームページやブログはあまりおもしろくないけれど、千夜千冊はそうじゃない。それどころじゃない。ひとつ選んで読んでみるとなにを言っているかわからないし、知らないキーワードしか出てこない。自分が知らないことがどれだけいっぱいあるかを突きつけられました。でもそういう絶望に出会うと、そっちのほうに行きたくなるんです。それから松岡さんを追いかけてます。

 

無知に気づき、未知へと踏み出したくなるという細谷さん。5月に開講する第51期[守]基本コースへの申込みも済ませていた。『遊』、千夜千冊ときて、ついにイシス編集学校を見つけてしまった17歳は「大学にいくよりイシスがいいと思った」とさらりと言う。“ヤバイ”ものを見つける研ぎ澄まされた嗅覚、タダモノではなさそうだ。

 

 

 

▼「チームYADOKARI」の次期メンバーか!?

夛田さんが選んだ1冊は『九鬼周三 偶然性の問題・文芸論』(燈影舎)。前日、ちょうど九鬼周三の千夜千冊を読んでいた。聞けば4カ月前にはじめて千夜千冊を知り、それから松岡正剛ファンになったという。松岡校長のどこに惹かれるのかを尋ねた。

 

方法を重視しているところです。

 

開口一番「方法」という言葉が飛び出すとは、またしてもタダモノではない予感。音楽家の両親を持ち、幼いころからバイオリンやトロンボーンに親しみ、大学ではコンピューターを使った作曲や編曲を学んでいるという夛田さん。音楽はもっとも身近なものであるはずが、急に曲がつくれなくなったり、急に楽器が弾けなくなることがあり、なにが指を動かしているのか、なぜ弾けるのか分からなくなる。そんなことを繰り返すうち、音楽に潜む方法に関心を持つようになった。松岡正剛の方法哲学に分け入り、編集工学をいいかえて“編曲工学”がありうるのではないかと希望に燃える20歳。山内が妙に楽しそうに夛田さんとおしゃべりしていたのは、松岡正剛オシな若きメンズ「チームYADOKARI」に引き入れるためのマーキングか。夛田さんもまた51[守]に申込み済みであった。51[守]、なにやら楽しそうではないか。

 

 

▼山内貴暉の必殺技

セイゴオ推しのふたりを相手に、本楼ツアーを進行する山内の語りにも熱が入る。ふたりがそれぞれ選んだ本で目次読書のワークをしたあと、さらにもう1冊を加え、3冊を組み合わせて「新入生に贈るプレゼントを考えてみよう」というお題が出された。3つの情報の組み合わせ方のヒントとして、[守]基本コースで学ぶ「編集思考素」のミニレクチャーをする山内。事前に2度もリハーサルをしたというだけあって、黒板を使いながらの説明もスムーズだ。

 

 

三位一体、三間連結、そして一種合成。AとBが組み合わさってまったく別のCが生まれるという一種合成の例として、マンガと喫茶店が合わさりマンガ喫茶が生まれたという話をする。ふむふむ。だが次の瞬間、山内以外の目が点になった。

 

チョコと最中を合わせたら何になります?いまみなさん食べてますよね。

 

チョコと最中を合わせた場合、チョコ最中というのがおそらく定説だろう。だが目の前にあるのは、先ほど田中晶子所長から差し入れられたブドウのタルト。編集術を使えば世界の見方が変わるとはいえ、どう見てもこれはブドウのタルトにしか見えない。

 

チョ、チョコ最中…

 

ああ、チョコ最中ではなかったですね。

 

凍てつく空気を察したのか、山内は自らツッコミを入れた。するとこの日一番の笑いが巻き起こり、一気に場が和む。[守]で学ぶ編集術に「パロディア」というものがあるが、まさかここで差し込んでくるとは。恐るべき山内の編集術であった。

 

 

▼編集ワークも抜かりなく

チョコ最中に気を取られてお題を忘れそうになったが、若者ふたりはしっかりと続きを考えていた。「この本を舞台にしたらどうかな?」夛田さんが切り出すと「それはおもしろいね」と細谷さんとの交わし合いが盛り上がる。

 

『乱世の精神史』が舞台で、『偶然性の問題』が舞台装置として周囲を漂い、舞台の上には『近松浄瑠璃集 中』が演者として立っているイメージ。タイトルは『ミニチュア・ジャパン』にします!

 

周りのアドバイスなしに「見立て」を使い、タイトルまで決まった。山内のボケを受けて、ふたりの編集脳が加速したようだ。

 

 

こうして本楼ツアーは無事に終わり、51[守]の準備体操もバッチリ。終了後も2時間ほど本楼に残って余韻を味わう姿を見ると、さぞかしツアーが楽しかったに違いない。

 

最後にツアーの感想シートを提出してふたりは本楼を後にした。

 

おやつが豪華でびっくりしました。

意外とたばこのにおいがしない。

 

ツアーの内容には触れずに読み手の想像に委ねる。

やはり、タダモノではない。

 

 

▼愉快な若者たちと編集稽古をしたくなったら、51[守]へどうぞ!お申込み・詳細は以下のバナーをクリック

 

 

▼「本楼」を味わうエディットツアーは4月23日(日)14:00~15:30にも開催。この春の本楼体験ラストチャンスです!

 

]]>
https://edist.ne.jp/post/honrou_tour_2023apr/feed/ 0 56148
イシスDO-SAY 2023年4月 https://edist.ne.jp/list/isis_do-say_202304/ Thu, 30 Mar 2023 23:00:11 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=55445 松岡正剛が校長をつとめるイシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。

 

4月3日は読書コース[多読ジム]の申し込み締め切り

4月24日は応用コース[破]の開講日。

4月30日は、基本コース[守]の申し込み締め切り

 

ということで、イシス編集学校は、いろいろなスタートの季節を迎えています。今月は師範・師範代がナビゲーションする編集ワークショップも多彩に開催されますよ。

 

では、4月も皆さんとともに、アレコレDOしてSAYしていきます。「イシスDO-SAY」4月号をどうぞ。

(今月のカバー写真は、4月の季語「苺の花」)

 

【2023年4月】

 

2023年4月1日(土) 51守伝習座、50破伝習座

伝習座とは、指導陣たちが集い、指南の腕を磨き、編集工学を深める学びの機会。開講を目前に、[守]・[破]、それぞれの伝習座が行われる。

▶ 関連情報 師範も師範代も粋に向かう【50[守]伝習座】

▶ 関連情報 「編集を人生する」に向かえ【50守伝習座】

▶ 関連情報 「境い目」を超える勇気【50[守]伝習座】

▶ 関連情報 全員集合が事件だ!49[破]第2回伝習座

 

2023年4月8日(土)  オンライン学校説明会

基本コース[守]をご検討のみなさまや「編集」にご興味のある方など、どなたでもご参加いただける学校説明会。「イシス編集学校で学べることとは?」「教室のしくみ」を中心にお話し、ミニワークを体験。

詳細・お申し込みはこちら

 

2023年4月9日(日) エディットツアー by 藤田小百合師範

編集未経験の方も大歓迎、リアルで富山開催のみの開催。藤田小百合師範がナビゲイターとなり、日本を考えるエディットツアーが行われる。

★詳細・お申込はこちら↓

【連続開催】4/9藤田小百合の第一回「日本を感じる編集ワーク床の間編」

 

2023年4月10日(月) 多読ジムSeason14 開始(申込締切は4月3日)

[多読ジム]は、1シーズン(11週間)に3つのプログラムで構成される継続型コース。ストレッチのように軽くトレーニングすることも、自分の力に合わせて負荷をかけていくこともできるようにプログラムは設計されている。毎期行われる出版社コラボも多読ジムの醍醐味、ご参加お待ちしております。

▶関連情報 【多読募集】ボウイと歌え、サブカルズで遊べ season14・春

▶関連情報 【多読ジム×青林工藝舎】遅咲きの大傑作『夕暮れへ』 メディア芸術祭優秀賞受賞

 

2023年4月15日(土)  エディットツアー by 石井梨香師範

編集未経験の方も大歓迎、基本コース[守]の指導陣、石井梨香師範がナビゲイターとなり、編集の入り口をご案内するエディットツアーを開催。大学生のキャリアコンサルティングとイシスの師範代育成に腕をふるう山本ユキ師範も案内役で参加します。

★詳細・お申込はこちら → 見え方がかわる 自分をひらく 編集ではじめるエディットツアー

▶ 参考情報 石井梨香師範のエディスト記事情報 

2023年4月16日(日) 【U23限定】6万冊の本楼ツアー

大好評、本楼ツアーが開催させる。イシス編集学校の本拠地である、6万冊の本の空間 本楼を、U23代表で山内貴暉(編集工学研究所インターン)がご案内。

 詳細・お申し込みはこちら →【U23限定】6万冊の本楼 エディットツアー

 

▶ 参考情報【限定公開】6万冊の本の空間を堪能できるのは年始の今だけ!「本楼ツアー」1/28開催

★山内貴暉さんの記事を読む 推し活の始まりはいつ? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(1)

 

2023年4月18日(火)  エディットツアー by 新井和奈師範

子育て・産後ケアインストラクターでイシス編集学校師範の新井和奈が、子どもの可能性を引き出すための編集ワークショップを開催。子どもの認知のユニークさに気づき、学びの好奇心を引き出すための編集の型や、コミュニケーションの仕方が劇的に変わる編集術をワークする機会、ご参加お待ちしております。

★詳細・お申込はこちら  子育てパパママのための編集ツアー 

▶関連記事:

【イシスの推しメン】新井和奈

育児とは編集である!アイドルママ新井和奈(20022年9月エディットツアー開催レポート)

 

新井和奈

 

 

2023年4月24日(月) 応用コース第50期[破] 開講

応用コース[破]が開講日を迎えます。

▶関連情報 【Archive】イシスの[破]がよくわかる!【番記者レポートまとめ】

 

2023年4月30日(日) 基本コース第51期[守] 申込受付締切り

情報編集の「型」、思考のメソッドを学ぶ、世界に一つのプログラム基本コース第51期[守]の申し込み締め切り日。お急ぎください。

詳細・お申し込みはこちら 

基本コース[守]第51期募集

 


過去のDO-SAY

イシスDO-SAY 2020年1月】 

イシスDO-SAY 2020年2月】 

イシスDO-SAY 2020年3月】 

イシスDO-SAY 2020年4月】 

イシスDO-SAY 2020年5月】 

イシスDO-SAY 2020年6月】 

イシスDO-SAY 2020年7月】 

イシスDO-SAY 2020年8月

イシスDO-SAY 2020年9月】 

イシスDO-SAY 2020年10月】 

イシスDO-SAY 2020年11月】 

イシスDO-SAY 2020年12月】 

イシスDO-SAY 2021年1月】 

イシスDO-SAY 2021年2月】 

イシスDO-SAY 2021年3月】 

イシスDO-SAY 2021年4月

イシスDO-SAY 2021年5月

イシスDO-SAY 2021年6月

イシスDO-SAY 2021年7月

イシスDO-SAY 2021年8月

イシスDO-SAY 2021年9月

イシスDO-SAY 2021年10月

イシスDO-SAY 2021年11月

イシスDO-SAY 2022年1月

イシスDO-SAY 2022年2月

イシスDO-SAY 2022年3月

イシスDO-SAY 2022年4月

イシスDO-SAY 2022年5月

イシスDO-SAY 2022年6月

イシスDO-SAY 2022年7月

イシスDO-SAY 2022年8月

イシスDO-SAY 2022年9月

イシスDO-SAY 2022年10月

イシスDO-SAY 2022年11月

 【イシスDO-SAY 2022年12月

 【イシスDO-SAY 2023年1月

 【イシスDO-SAY 2023年2月

  【イシスDO-SAY 2023年3月

 

 

]]>
55445
2023新春放談 其の伍 – YADOKARIの野望?夢想?「指南・多読・意匠」への思い https://edist.ne.jp/just/2023-shinshun-hodan-5/ https://edist.ne.jp/just/2023-shinshun-hodan-5/#respond Wed, 04 Jan 2023 00:00:05 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=51807 遊刊エディストは創刊から4回目の新年を迎えました。今年も、編集部恒例の「エディスト新春放談」をお届けしてまいります。エディスト・ライターやニューカマーをゲストに招き、2023年の新たな展望に野望、夢想に妄想まで、新春から放談していきます。

 

新春放談、次の、そして最後のゲストは、松岡正剛校長ラブな若手メンズ3人衆、TEAM YADOKARI。2022年夏に、「編集学校は推し活である」「松岡正剛校長LOVEである」ことから、生態を知るべく行った彼らの鼎談を覚えているでしょうか。存分にお楽しみください。

 

◎遊刊エディスト編集部◎

吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 川野貴志 師範, 後藤由加里 師範, 松原朋子 師範代, 上杉公志 師範代, 梅澤奈央 師範,穂積晴明 デザイナー

 

◎ゲスト◎

TEAM YADOKARI

[物語講座] 網口渓太師範代

[破] 加藤陽康(学衆)

[花伝所] 山内貴暉(花伝生)

 

 

上杉 では、”TEAM YADOKARI” の皆様、2022年夏に4人で集まって以来、数か月がたちますが、皆さんそれぞれにご活躍が目覚ましいですね。その後、どんなふうに過ごしていたのですか?

 

🐰の差し入れ  YADOKARIを復習するノダ!

 🐇2022/07/21 カメラ部につづき新チーム結成か? その名は「YADOKARI」?!

 🐇2022/09/07 推し活の始まりはいつ? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(1)

 🐇2022/09/15 自分のなかの“松岡性”をクロニクルに見出す ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(2)

 🐇2022/09/18 松岡正剛校長のイメージ:「たくさんの校長」とは? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(3)

 🐇2022/09/22 ズバリ松岡正剛のどこが好き? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(4)

 

吉村 まずはYADOKARI長男の網口さんから。 網口君は長男だから、、、「ヤシガニ太郎」ですかね?

 

マツコ えーーー!!

 

上杉 ヤシガニになったんですか?!?!

 

吉村 網口君、何がいい?ヤシガニは結構かっこいいよな。

 

後藤 え? みんなYADOKARIではないんですか?(笑)

 

吉村 YADOKARI軍団だけど、YADOKARIは上杉君がヤドカリ三郎( ※命名の秘密はこちらにあり)という名前を持っているからさ。

 

 それなら種を変えなくても、ヤドカリ二郎とかでもいいんじゃないの?(笑) しかもヤシガニって貝殻脱ぎ捨てちゃってるよね。

 

網口 ヤシガニって見た目気持ち悪いですよ。

 

上杉 あ、結構ね、画像検索するとね、ワイルドな…

 

吉村 おっきいヤドカリだよ(笑)

ヤシガニ

ヤシガニ: オカヤドカリ科の甲殻類。甲長12センチにも達し、ヤドカリであるが貝殻に入らない。体色は青褐色で、はさみは大きい。沖縄以南の海岸近くの林にすみ、夜行性で落ちているヤシの実などの果実を食べる。(デジタル大辞泉から抜粋)

 

上杉 じゃあ、それはさておき…

 

網口 そうですね、では…。私は、10月から[物語講座]の師範代をさせていただいています。[守][破][離]を終えてて、師範代として[守][破]、師範として[花伝所]を終えているので、それらから得たすべてをたずさえて指南ができる場を、今、[物語講座]の師範代という形でいただいています。この中で、別の師範代モデルが作りたいなと思って、先輩師範代たちの教室運営を見ながらいろいろ試しています。

 

ジェスチャーを交えてアツく語る網口渓太さん。この時点では「ヤシガニ太郎」に納得しているとは言いがたい反応。

 

網口 12/13はDOMMUNEで開催された情歴イベントを、文叢(ぶんそう、[物語講座]での教室の呼び名)で、実況中継をやってみました。このあと情歴が必要になる稽古があるのと、応援の意味を込めて、みんなで見ました。すごい頑張っている奴がいるな、新しいことに挑戦しているなと先輩師範代たちに思ってもらえたら。もちろん、加藤さんや山内さん関連のモノも全部拝見しています。

 

上杉 鼎談のときから、網口さんは師範代然としていたというか、長男然というか、他のメンバーの事前回答を読み込まれて、ここぞというときに問いかけや言葉かけをなさる姿が印象的でした。

 

吉村 網口君は立正佼成会のために開発した編集講座(Za(智・縁・開祖三昧録))でも師範代を担当し、編集学校の[物語講座]でも師範代ですが、[守][破]の師範代をやった時からの変化はありましたか?

 

網口 だいぶ落ち着きが出てきたんじゃないかと。普段読書している編集的キーパーソンも指南につかえるように用意してきたので、今、教室運営で言葉を引用しながら、指南に肉付けをすることができてきました。AIDAボードの山本貴光さんや武邑光裕さんの言葉を引用したりしながら、編集学校の中と外をつなぐような指南、そこが破れるようになってきたのが、自分でもおもしろくなってきました。

 

吉村 [物語講座]では総合的な編集力が試されますが、指南をする上で、網口師範代自身のユニークな方法はありますか。

 

網口 物語の世界の中のキャラクターではなくて、自分自身も物語。編集学校で稽古している自分の自分史も、物語として楽しんでもらう。物語の中の時空と、自分が稽古している時空。教室のイメージも立体的にイメージしていて、テキストだけの学衆さんにも、場と時空を共有しているようなワールドモデルをつくることで一緒に稽古している感が出る、というような工夫をしています。

 

🐰の差し入れ 網口渓太さんのエディスト記事はこちら↓

 🐇 ISIS 20周年師範代リレー [第42期網口渓太 令和のイシス的バーチャルアイドル]

 🐇 ISISをダンゼン・ダントツにするiGenセブン

 🐇 イシスをDAN ZENにする7人【iGen004】網口渓太 関西弁のミク太郎 憧れ力で起動する編集少年

 

吉村 以前、網口師範代の師範だった後藤さんは、今の網口くんをみていかがですか。

 

後藤 あれは何年前ですかね、そのころからもちろん、成長は感じています。汁講で倒れられた網口さんとは別人です(笑)。特にオーラルでの言葉が立ってきていると思います。

 

上杉 え? 倒れたんですか?

 

梅澤 私は42[守]の同期師範代ですが、初音ミク太郎教室の汁講当日、本楼に立ち入るとすぐに網口師範代が倒れ、師範代不在の汁講になったらしいという衝撃ニュースは当時駆け巡りましたよ…。

 

網口 この前は蒐譚場([物語講座で一堂に会して研鑽する場])の際に、コロナにかかりまして、節目で倒れがちです。オンラインでもコロナがうつるのか、師範もコロナになってしまいました。そんなことはないですが(笑)、今は体調、万全です。

 

マツコ よかったです〜。では次は、次男? 加藤さん。

 

上杉 今エディストで一番知られている学衆さんだと思いますね。

 

吉村 僕の家族も読んでいるんだけどね、加藤さんのあの独特の表情は作っている表情かと聞かれたのですが。

 

エアサックス加藤エアサックス加藤

 

加藤 作ってますよ。

 

吉村 そうなの? 素の顔ではなくて?

 

加藤 そういえば、この前、[破]の教室で汁講があったんですが、エディストで見ていたときよりも優しそうで安心しました、と言われて。天狗の前だと緊張するんですかね。

 

上杉 今は豪徳寺の学林堂にだいたい週1回きてもらっているんですよね。今回、3度目の[破]を受講中ですが、“編集天狗”の応援をうけながら突破を目指しています。さて、加藤さん。3度目を受ける前と今の変化は?

 

加藤 まだ“破れている感じ”はしないんですが。最近はけっこう週刊花目付が大好きで、いつも読ませていただいていて、そこから学ぶことも多いです。

 

マツコ 天狗から学んでるんじゃないのかと、編集天狗が泣きますよ。

 

加藤 いつも泣かされているので、この際(笑)

 

加藤 場で数寄を出さないのがよくないというか、数寄を押し付けるのは良くないが、出して、それを発端にして話が編集されていくというようなことがおもしろいのであって、別にこだわりを持ってしゃべらなくてもいいんだなと学んだことがありました。こだわりを捨てるということが、[破]においては重要なのかなと思ったり。

 

加藤陽康

放談中のエアサックス加藤さん。「オンラインのときには背景を工夫する」というイシス・ルールを覚えていた。用意した掛け軸の作り方を熱く語ったものの、放談原稿からは割愛。

 

吉村 編集天狗にはいつも厳しくされていますか?

 

加藤 厳しいか優しいかと言ったら、圧倒的に優しいです。教えてもらっているじゃないですか。お前は全然だめだといわれているわけではないので。

 

吉村 記事から受ける印象とは違って、実際の天狗はやさしい?

 

加藤 でも天狗もイメージが悪くなっていると思いますよ。

 

吉村 エアサックス加藤シリーズは、イシス初の「稽古ドキュメンタリー」なので、実際の編集稽古がどういうものかというのを、身を持ってやってくれていることが新しいのではないでしょうか。なかなかエアサックス加藤みたいなキャラクターはいないので貴重ですよね。イシスの皆さんはとてもできがよろしいので(笑)。

 

加藤 やる気があって、でもなかなかここまで出来ないヤツいないな、ということでしょうか。

 

吉村 ここまでは有言不実行だったエアサックス加藤くん、次男の名前は、ホラガイ次郎でいきましょう。

 

こちらのホラガイは、ただいまアオヒトデを食しているところ。 ホラガイ: フジツガイ科の巻き貝。日本産の巻き貝では最大で、殻高30センチ以上になる。貝殻は紡錘形で厚く、殻口が広い。表面は黄褐色の地に黒褐色などの半月斑が並び、光沢がある。ヒトデ類を餌とする。紀伊半島以南の暖海に広く分布。(デジタル大辞泉より引用)

 

 

上杉 じゃあ、三男の山内君は何になるのですか?

 

吉村 シオマネキ五郎はどうかな? シオマネキって、片方のハサミだけが大きいでしょ。山内君は最近、編集工学研究所のインターンとして、動画や画像の編集といったビジュアルで才能を発揮しつつあるんだよね。[AIDA]の講義で毎回実施する僕の編集講義からダイジェスト映像を制作してもらってたりします。でも、まだまだオーラルやリテラルの編集力は物足りない。もう一方のハサミも大きくなることを期待してのシオマネキです。

 

シオマネキ: スナガニ科の甲殻類。甲幅27ミリほど。雄の一方のはさみ脚がきわめて大きく、潮が引くと上下に動かして潮を招くような動作をする。和歌山県以南に分布《季 春》(デジタル大辞泉より抜粋)

 

山内 去年からヘンコウケンでインターンをさせていただいているんですが、なんといっても学生から社会人への転換期というのが大きいです。過渡期です。知らないことが多すぎて、やるべきことがやれずに、課題の後先も準備できず、メールのやり取りも下手ということが身に染みています。速度は自分で頑張れるところなので頑張ってはいても、そこもまだまだこれからかなという感じです。

特にインターンで、[AIDA]の動画や、1個だけですが[多読ジム]のアイキャッチをつくったりする中で、そうしたデザインをつくるのがどれだけ大変か。穂積さんはパパっとつくられるんですが、仕事をできる、こなしていくことがどれだけできないのかを実感しました。

 

上杉 山内君のつくった動画を見ましたが、自分も習いたいぐらいのユニークな動画になっていましたよ。

 

山内 突破後に、9月に実施した感門之盟(コース修了式)で初めて上杉さんから、鈴木康代学匠の記事を書かないかと言われて。書いた記事に誤字脱字もあるし、うまくかけなくて、軽い気持ちで挑戦しようと思っていたのが、速報記事を出す責任ってあるんだなと痛感しました。

 

鈴木康代

初めて山内さんが書いたエディスト記事は、感門之盟にて鈴木康代番匠を取りあげたものだった。 「教室モデル」で社会編集を 鈴木康代[守]学匠メッセージ【79感門】

 

山内 今、大学4年生ですが、仕事をするって、学生とは大きく違わないといけないなと感じています。学生との一番違うところは、責任がともなっていくということだと学んでいます。

 

吉村 だいぶ早くから編集工学研究所でインターンをしたがっていたんだよね。 

 

山内 [守]が終わって、[破]をやる前ですね。2022年の3月9日には、エディスト・ライターに応募を送って、3/26にインターンの問い合わせをしました。

 

吉村 記事を上杉君に見てもらって、いくつか書いたんだよね。その時にはまだインターンじゃなかったんですが、僕が見るとまだまだ全然ダメだった。速度を上げるように言ったら、それはできたけども編集の塩梅が悪かった。これでは難しいと思ったけども、グラフィックがやれるなら、ヘンコウケンや編集学校に今欠けていることでもあるのでやってみますか、となって。山内君がデジタル・ネイティブだったので、学習は早かったね。せっかくだから、新春放談を読んでいる皆さんにも、[AIDA]で制作してくれた動画をみてもらおうか?

 

企業経営幹部を対象とした編集工学研究所のプログラム「エディティングプラットフォーム[AIDA]」第一講、吉村林頭が担当した編集工学レクチャー「義疏」ダイジェスト映像。制作はもちろん、TEAM YADOKARI 末っ子の山内貴暉さんだ。

 

上杉 見ていて、とにかくいつも楽しそうに動画をつくられているんです。

 

山内 アドビのイラストーター自体は1年ぐらい前から使っていて。もともとつくることが好きで、例えば石膏で自分の手を作ったりした時にイラストレーターで設計したり、配置を考えたりしたら面白いんじゃないかと思って、使い始めたんです。

 

山内貴暉さん

真ん中の写真が自身で制作した石膏アート。自分の「手」を制作したのだとか。他にも「fragile」のネオンを自作などしているらしい…。

 

吉村 いろいろと挑戦してくれたら面白いと思います。

 

加藤 輪読座についての山内さんの記事を読ませていただきました。僕は以前、輪読小僧(輪読座の手伝い)をやらせていただいた時に、どこに手をつけたらいいかわからなくて、わからなさで言葉が出なかったんですが、ああいう風に記事にできるのがすごいなと思いました。わからないのはわからないが、どうわからないのかを推し進めている感じがします。突破されてすぐ書かれた記事ですが、破られた感じがありました。

 

上杉 山内くんは、秋の感門からスタートしたJUSTの速報記事もすでに10本以上書いていますから、スピードもあがっています。本格的に始めてから、3か月ぐらいしかたっていないというのを驚いています。それにしても、3人とも動き続けていますよね。

 

網口 僕も、加藤さんと山内さんのご活躍は全部見てます。

 

吉村 加藤君が師範代になったらTEAM YADOKARIを卒業かな。

 

網口 卒業があるんですか?

 

吉村 2代目ホラガイ次郎みたいに、卒業して別の人が襲名していったら面白いんじゃない?

 

上杉 いつかは襲名式をやらなければですかね笑。その前に、2023年の抱負を聞いてみましょう。

 

網口 僕は加藤さんや山内さんぐらいの年齢で編集学校に入ったんですが、ぜったい師範代をやりたくないと思っていました。が、なんやかんや今は5回目の師範代です。師範代がおもしろくなってきているので、来年の抱負は「師範代というものを遊ぶ」こと。普段はだめなんですが、上杉さんが先ほど、夏の鼎談のときは師範代然としていたと言ってくださったその感じが面白いと思っていて。「師範代然」としている部分を師範代で遊べるようになりたいですね。僕は、加藤さんを師範代にする! 山内さんも師範代にして、3人で一緒に師範代をする! YADOKARIも、歌舞伎の襲名じゃないですが、初代、2代目、というように、モデルチェンジで変わって行けると思います。

 

加藤 僕は、緊張こそしますが、師範代はやりたくないほうではないです。編集学校でいろいろやりたいと思っているほうなんですが、そういうふうにいろいろできるためにも、2023年はまず突破できたらいいですし、週刊花目付を読ませていただいているので、[花伝所]に行くのも楽しみです。逆に[物語講座]に行くのも面白いと思います。最終的に、自分なりの多読というスタイルがやってみたいというか、図解も面白いと思ってきたので、図解を使って多読に向かっていけたらな。突破して、自分を破った先に広い世界があればという気持ちでいます。

それと、音楽部をつくるんですよ、と八田(英子)律師にいわれていて。それがとん挫していて、なにかきっかけを作れないかなと思います。

 

吉村 最初はエア音楽部でいいんじゃないかな。

 

加藤 “エア”がつきまとっているんですか、僕(笑)。実のあることがずっとできないという…。でも遅まきながら、いろいろやっていきたいです。

 

山内 今、失敗することのハードルが高くなっているので、失敗できるのは今のうちだと思うので、失敗して、ハードルを下げたいです。そのために、いろんなものにトライして失敗していかないといけないと思うんですが、悪食のようになりたい。変なものを食いまくれるようになれたら、何かしらいろんなものに手を出せるし、自分を規定しないようになれるんじゃないかと思っています。僕はこういうふうにしゃべるのが下手で、書くのも遅い。シオマネキの片腕をゆっくり育成したいなと思います。

 

上杉 抱負、皆さんいいじゃないですか! 3人のこれからに益々期待しています。2023年もご活躍を楽しみにしています!

 

 

其の陸(最終回)に続く。

1月5日 9時に公開予定!

 

 

————-

2023年 新春放談

 其の壱 – エディストは「卯報雲展」なメディアになる (1月1日 0時公開)

 其の弐 – [守][破][花]の卯年、エディティング・キャラクターの突出へ向かう (1月1日 19時公開)

 其の参 – 言語聴覚士は、迷いながらもメタファーで綴り続ける(1月2日 公開)

 其の肆 – 2023新春放談 其の肆 – カメラ部の2年目は“ISISビュアル祭り”を!(1月3日 公開)

 其の伍 – YADOKARIの野望?夢想?「指南・多読・意匠」への思い(1月4日 公開)(現在の記事)

 其の陸 – 編集部の卯年、跳ねて弾けてさらなる編集的高みを目指す!(1月5日 公開)

————-

]]>
https://edist.ne.jp/just/2023-shinshun-hodan-5/feed/ 0 51807
【ISIS BOOK REVIEW】芥川賞『おいしいごはんが食べられますように』〜大学生の場合 https://edist.ne.jp/nest/akutagawa-award-review-by-university-student/ https://edist.ne.jp/nest/akutagawa-award-review-by-university-student/#respond Mon, 10 Oct 2022 23:00:06 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=47993 評者: 
大学四年生(2022年秋、38期[ISIS花伝所] 受講予定)

 

 社会人として働く前の猶予期間。学生がモラトリアムと言われる所以である。僕も大学生として、終わりが近い引き伸ばし期間を惜しみながら、まだ知らない社会への期待を持っている。『おいしいごはんが食べられますように』では職場を中心にしてさまざまな問題が生じる。僕にとっては未知の世界の出来事だ。それにも関わらず、最初に読んだ時、なんだか腑に落ちるような妙な感覚を覚えた。なぜなのか。学生をしていて感じる違和感と本書に出てくる職場での不和をつなぐものの正体を探っていきたい。

 

「強い/弱い、正しい/正しくない」

 

 学祭の前日に捻挫して急遽発表の舞台に出られなくなったら、得意な裁縫を活かしてみんなにお守りを作ってくる。リーダーは参加できなかった芦川の分までなんとしても成功させようと鼓舞する。当日は日陰のテントから健気に声援を送っていて、実行委員の教授も「芦川さんは体が弱いので困っていたら助けてあげましょう」と言う。僕が思うに、芦川という女性はこういう学生生活を送ってきたのではないだろうか。

 

 我慢して頑張ってみようよ、とは誰も言わない。そんなことを言ったら、芦川は健気な笑顔で「わかった、やってみる」と返事をして、より大きな怪我をしでかす。傷ついたとしても芦川は、「あんたのせいだ」とは言わないし思ってもいない。ただ自分が悪かったと悲しそうな表情を浮かべる。だから、もうちょっと無理をしてみようよ、と提案することは悪者になるということであり、もう大丈夫、守ってあげる、と手を差し伸べることが正義なのである。

 

 芦川が出場できなくなった舞台を、お前ならできるという理由で押尾は任される。芦川ができなかったことは大抵自分に回ってきて、自分も解決へと努力してしまう。もちろん本当はやりたくない。でも断ったら、弱さがそのまま正義感とつながっている世界では悪者になってしまう。だから我慢してやるしかない。押尾だって別に元々なんでもできるわけではない。事前に準備をして、当日に無理をすることでなんとか上手くやってきた。結局、打ち上げの席では、逃げた芦川も逃げなかった押尾と同じように感謝される。かわいくてかわいそうという立場の芦川には羨望まじりの嫌悪を、しょうがないと認めている社会に対しては不快と憎悪を抱いている。

 

 押尾は二谷に好意を持っているが、芦川と二谷がいい関係性にあることも知っている。

 

 二谷は卒業文集の座右の銘には「触れぬ神に祟りなし」と書いていそうな男だ。いつも合理的に正しそうなことを選択し、面倒なことには首を突っ込まない。しかし、正しそうなことに対する真偽は保留している。弱さは保護しなさいという正解通り芦川に手を差し伸べはするものの、弱さと正義が固く結びついていることにやるせなさを感じている。押尾の「芦川さんにいじわるをしませんか」という誘いに乗ったのも、その苛立ちからであった。

 

 無駄な労力を極力省きたい二谷にとってわずらわしいものの代表格が、贅沢な食事をすることである。おいしい食事、健康的な食材、団欒の食卓は生きるための最低限の食事からすれば、到底いらないものなのである。二谷はただカップ麺のみを胃に入れる。手間ひまがかかっていない料理だけが彼を癒すことができる。二谷の合理性は正しさと気味悪く絡み合っているのであった。

 

 

「傷に対する態度」


 僕が小学生の頃に、徒競走に順位をつけるのをやめようという案が出た。中学校では、いじめが問題になって誰かをいじることはやめましょうということになった。高校では、無意識であっても誰かを傷つけてはいけないから、誰にも痛みが生じないディスカッションをしましょうと教えられた。大学では教授が、現代は色々な問題があるからしょうがないですねといって、角を立てないように当たり障りのないことを言っていた。学習の場から傷がつきそうな場所や傷が発生しそうな環境は、過剰なまでに排除されたのだ。「傷」は決してあってはいけないのである。

 

 この傾向は、おそらく社会に出たって変わらないのであろう。むしろ「傷」に対する監視がより厳しくなるのかもしれない。ハラスメントにビクビクし、ポリティカルコレクトに気をつけながら、コンプライアンスを遵守する。大衆や時代がつくりあげた正しそうな価値観が絶対的な力を持っていて、意見しようとすれば正論をよってたかって振りかざされて大炎上する。やがてすべてが「だってそういう時代じゃん」と言う二谷のような人間がうまれていくだろう。

 

 現代は弱い立場にある人をがんばって理解し最大限の配慮をしようとする時代である。障害や性別や国籍による差別がないようにさまざまな対策がとられていて、もちろん思いやることは必要だし大切に違いない。

 

 しかし、傷に対する価値観と傷に触れないようにするための対策が、普遍的で画一的になりすぎてはいないだろうか。均質になりすぎると、例外性や異質性や希少性が摘み取られ、凹凸のないツルツルな社会になってしまう。すべての組織が足並みをそろえることになって、「うちは独自のルールでやってますんで」などといえば、「けしからん、これがスタンダードなんだ」と一蹴されるだろう。決められたモデルが世界をまるごと覆うようになって、新たなゲームを作り出すことも禁じられる。

 

 かつて街や学校には全体のルールや校則からは逸脱した「悪所」のようなものがあった。コンビニ前やゲームセンター、学校裏や屋上などに暴走族や不良少年たちは溜まり場をつくり、社会の秩序や権力から外れて、仲間同士だけの価値観を交わし合った。世間から「負」を受けたものたちの避難所であるアジールとして機能していたのだ。しかし安心と安全のための監視カメラが覆った世界では、町の「傷」とみなされ、排除、封印の対象となったのである。

 

 世界は決して平均的には成り立たない。強いところ、弱いところ、多すぎるところ、少なすぎるところなどさまざまに出入りしている。そうやって葛藤や矛盾が輻輳しているところを単純な善悪の二項対立でクリーンにしてしまっては、つまらない。多様性社会とはばらつきやでこぼこを尊重するためのものであって、傷になりそうなものを触れないように遠ざけたり、弱さを基準値にのみこませ普遍化するということではないはずだ。フラットになっている傷の価値観を多様にしていくために、アジールを発見し、発育し、発展させていくことが、おいしいご飯が食べられるようになるために必要なのではないだろうか。

 


おいしいごはんが食べられますように

著者: 高瀬 隼子

出版社: 講談社

ISBN: 9784065274095

発売日: 2022/3/24 

単行本: 162ページ

サイズ: 13.5 x 1.6 x 19.5 cm

 

]]>
https://edist.ne.jp/nest/akutagawa-award-review-by-university-student/feed/ 0 47993
ズバリ松岡正剛のどこが好き? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(4) https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-4/ https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-4/#respond Thu, 22 Sep 2022 03:00:24 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=47088 イシス編集学校にひとつのウワサがある。最近、“松岡正剛校長Loveな若手メンズが編集学校に急増しているらしいエディスト編集部ではそれらしき3人の若手メンバーにひとまず話を聞いてみることにした。すると、水を得た魚とはこのことか息つく暇なく口をついて出てくるのは、松岡校長や編集工学へのあくなき思慕、秘めた思考や連想だった。 

そこで場を改め、2022年8月某日、若きメンズの熱量と独自のアナロジーの源泉はどこにあり、どこへ向かうのか。その生態を紐解くべく、オンライン鼎談の場を用意した。

 

連載の最終回は、松岡オシ若手3人衆「チームYADOKARI」が松岡正剛を理解するためにいそしむ推し活、そしてズバリどこが数寄?に迫る。

 

(聞き手:エディスト編集部 上杉公志、マツコ 

バックナンバー

推し活の始まりはいつ? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(1)

自分のなかの“松岡性”をクロニクルに見出す ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(2)

松岡正剛校長のイメージ:「たくさんの校長」とは? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(3)

 

 

マツコ なんかね、私、フワーッとした気分になってきましたよ。松岡正剛校長の面影が、若きメンズのクロニクル(自分史)から浮き立ってきたり。みなさんが著作や千夜千冊やその他の接点から描く校長のイメージを、さらにモワーっと広げてみたり。3人で広げる仮説に “???” となったり。これはやっぱり“正剛愛”というのかなぁ。

 

網口 以前に[守]の鈴木康代学匠が、学匠を引き受けることで変わったことがなにかといえば、自身の内側が広がったとおっしゃっていたんですよ。一人の人間の中に荒事的なこともあれば、和事的なものもある。両方あって、その葛藤を超えていくと、むしろ内側が広がっていくと。松岡校長もずっと葛藤を超えてきたから、その過程でかわるがわる認識も変わってきて、こんな風にたくさんの松岡正剛のイメージができてきたんだろうなと思いました。普通なら、どこかでやめてしまってもおかしくないのに、20代のころからずっとトップで走り続けている人って、なかなかいないと思います。

網口渓太

 

マツコ そういえば、網口さんは、校長を学ぶために何かやっているといううわさを聞いたのですが。

 

網口 松岡校長が工作舎時代に推していたバタイユとか、カイヨワとか、フロイトの原著を、興味があるので好きで読んでいます。これはカイヨワとか、フロイトの原著を書きとったものなんですが、自分の気に入ったフレーズや気になるところを書きとることをしています。やっぱり僕も、山内さんと加藤さんと同じで、放っておくと仮説が広がるタイプなのでしっかり一字一句たがわず書き取ります。

 

網口渓太が書き溜めているノート

 

 

上杉 それは、しっかり原文を書き取ると、仮説がより広がりやすいということなんですか?

 

網口 いろんな分野を読んでいると、異なるものを関係づけたくなるんです。日本・東洋・古代・現代といろいろ読んでいると、松岡さんと同じようにやりたくなってきて、こことここをつなげたくなる。自分が読んでいると似ていると思うんですが、それを読んでいない人からすると、とんでもないところから球が飛んできたと思われてしまうのが悩みです。たくさん読めば読むほどそうなりますが、でも、松岡正剛がいるんで、僕は大丈夫です(笑)

 

マツコ 千夜千冊についても、網口さんは好きなものを写経のようにノートに写しているということでしたよね。加藤さんには、そういうものがありますか?

 

加藤 僕はないですかね。

 

網口 でも詩とか音楽とかつくっていらっしゃるでしょう?発表したくない?(笑)

 

加藤 そういわれると、今はまだ手を付けられていないんですが、この先、音楽や言葉を形作りたいかなと思います。

 

マツコ 「たくさんの校長」をイメージするときに、音楽から言葉をイメージしてフレーズ化されましたよね。それもきっとひとつの表現ですね。

 

加藤 そうですね、この曲を聴きながら、「松岡正剛校長は東欧の不良たちが眠る夜行列車である。」というイメージをつくりました。

 

 

山内 あのぅ、ひとつ見ていただいてもいいですか。僕はこんな風に、仮説やイメージを図解してみています。これは、「遊」と「道」という漢字の成り立ちに関連性があるということを自分なりに図解したものです。

 

山内貴暉の象形文字を使った図解

 

 

網口 山内さん、これは好みにまっすぐに向かっていますね。デザインも好きですよ、稲垣足穂っぽさもありますね。

 

山内 「道」「遊」の語源を調べて、関連する象形文字を配置しました。たとえば、「道」というのは、「鬼」の領域に旗を掲げて首をもたげて入っていく。虎・龍・兎・蛇など魑魅魍魎がばっこする中を進んでいく。その先に「遊」があるような構図です。月も出ていて、ここにたばこも置けば、「たくさんの校長」で出した“深夜3時の菫色反応”のイメージにも近いかな。

 

上杉 他にも、これからもこんな試みをやってみたということが出てきたら、Edistで発表できたらいいですね。

 

マツコ では、今までもさんざん松岡Loveを語っていただいたんですけれども、最後に、ズバリ、ここが数寄!注目しているポイントは?

 

網口 じゃあ、僕から(笑) 僕が編集工学を楽しく続けられているのは、イシス編集学校では、「複雑なものを複雑なまま取り扱うこと」を大事にしているという点からなんです。これから、編集や方法がもっと流行っていくなかで、イシス編集学校が決定的に世の中と違うキー・ポイントだと思っています。これは、編集工学研究所の安藤昭子さんが書かれた『才能をひらく編集工学 世界の見方を変える10 の思考法』にも記されていて、あ、やっぱりね、となりました。クロニクルで触れた『インナーゲーム』を読んでいたときに考えていたことでもあって。山内さんと加藤さんのクロニクルにも親和性があるなと思ったので、複雑なものを複雑なまま扱うってことを皆がわかってくれるようにどうしたらいいかなど、このチームYADOKARIメンバーなら一緒に考えられそうだなと今日は思えました。

 

マツコ 次にみんなで考えたいテーマをいただきました! 加藤さんはいかがですか? 松岡正剛のここが好き、というのはありますか?

 

加藤 ……好き、じゃないっすよ…。

 

一同 えー。さんざん今日話してきたのに?!

 

マツコ じゃあ、どんな気持ちに近いですか? それとも、もう放っておいてくれって感じ?(笑)

 

網口 一緒に隣でドーナツ食べたのにw

 

加藤 なんか…… さっき数寄の話をしていたじゃないですか。数寄、フェチっていうぐらいだから、それは偏愛ですよね。偏愛までいくと同化するんじゃないかと思っているんです。同化すると、だからこそ固まっていってしまうし、深化しない。理解も、自分の中の相似も広がっていかないと思っていて。だから、好きすぎるのもよくねぇな、みたいに思っていたんですけど、そんなこともないっすかね?(笑)

 

一同 あはは(笑)

 

網口 恋と愛を松岡校長は切り離されていますが、それを言っているのかもしれないですね、もしかしたら。

 

マツコ 好きなら好きって言ったらいいんじゃないかと(笑)

 

加藤  あははは、スミマセン、じゃあ、数寄です(笑)

 

一同 爆笑

網口渓太、加藤陽康、山内貴暉

 

山内 僕は同化できるならしたいです。校長のようなものすごい人に出会うと、1日だけその人の肉体・精神を借りてみたいと思っちゃうんです。

 

マツコ え?!肉体を借りるんですか!!!

 

山内 はい。なんでかっていうと、先ほど千夜千冊『棟梁』のことをあげたんですが、「ここらへんでいいや」と思うことが世の中に多すぎで、それではダメだということじゃないですか。そうすると多分、松岡校長と僕では、「ここらでもういいか」と思う感覚がべらぼうに違っているはずなんです。自分の中のここまでというリミットはきっと断然に違うスケールです。そういうのを、感覚で知りたい。ということで、同化できるならしたい。

 

山内貴暉

 

マツコ マニアックだなぁ、それ(笑)。松岡正剛の感覚知を体感したいということですね。

 

山内 松岡正剛の1日肉体体験をしてみたいです、職場体験じゃないですけど(笑)

 

網口 それはぜひ守破離の[]に入ってみてほしいですよね。

 

マツコ さっき加藤さんは、同化しちゃうと深まらなくなっちゃうんじゃないかと。山内さんは、同化しちゃってその感覚を知りたいと。お二人から、同じ「同化」という単語が出てきたけど、逆の発想でおもしろいですね。

 

山内 僕はとうてい松岡正剛のレベルにはなれないと思うんですが、“松岡正剛もどき”になれたらそれでもいいと思っていて(笑)、その焦がれを“松岡愛”と呼ぶなら、そうなのかな。

 

マツコ これはもう認定ですね!

 

網口 いやあ、自分が出会ってきた方の中では、だいぶ好きなほうだと思いましたよ。ポンポン出てきますからね(笑)

 

マツコ 加藤さんはちなみに、1日肉体体験はしなくても大丈夫ですか? 

 

加藤 しなくて大丈夫です(笑) いやぁ、ぜひさせてください。どっちなのかわかんないっすね(笑)。

 

加藤陽康

 

マツコ 3人のお話を伺っていると、ご自分の中に松岡正剛性を感じて、相似するところを見ているし、かと思うと全然違うところもあったり。でも、そうやってご自身と校長を重ねたり、離したりしながら存在を楽しんでいるような。でもそれって、数寄じゃないとできないのかなって。

 

上杉 うん、おもしろくなければやってないですよね。皆さんの、その「ゆらぎ」のような感覚がいいですね。これまで生きてきた中で、松岡校長や著作とのであいで生まれた「ゆらぎ」が、「未知へのワクワク」である一方で、なにか「恐ろしいこと」でもあるという感覚、わかる気がします。だからこそ、どう向き合っていくかをいろいろと試していって、変わったり、迷ったりしていただけたら。他にも葛藤やもやもやを抱えながら稽古している人もいると思うんです。だからまたこれからの変化を、このメンバーで一緒に見ていけたらと思います。

 

マツコ 上杉さんを含めこのメンバーは「チームYadokari」というんですよね。

 

上杉 そうですね、いま生まれようとしている新チームなんですよ。

 

網口 ヤドカリって、なんでですか? 僕の中では “♪やどかりかり こだわりやさん〜”、というCMを思い出しました。引っ越しか家のCMで、関西ローカルかな。

 

山内 そのCM知ってます、僕は名古屋ですが。このメンバーは皆さんがこだわりやさんでもありますね。

 

網口 後は少し調べましたけど意図がわからなかったです。また吉村林頭に遊ばれているのかなとも思ったのですが(笑)

 

加藤 やどをかりてるから、宿を借りながら旅を続けるという、松尾芭蕉みたいなイメージかと思いました。

 

マツコ YADOKARIの事の発端は、上杉さんなんですよね?

 

網口 加藤さんの“宿を借りる”が近いんじゃないかな。

 

山内 今日の話にこじつけるならば、ヤドカリって自分のサイズに合わせて宿を変えていくじゃないですか。だから、「殻に閉じこもらないで、これから自分の宿を、自分の方法をどんどんと着せ替えながら、若い僕らが大きくなっていく。新たな非自己を取りいれて進んでいく」、という感じでしょうか、今日のまとめっぽくもあって。

 

網口 おー、じゃあ、それで!

 

加藤 それで!

 

上杉 それで!

 

マツコ 上杉さん、みなさんが「チームYADOKARI」のイメージを作ってくださいましたね。前向き、前向き♪ これからも松岡正剛Loveな「チームYADOKARI」が、新しい仲間、新しいチームとして、エディストでも活躍していただけたらいいですね。

 


“少年はこの世で一番わかりにくい哲学だ。
ピュアな存在のようでいて、遊べば孤独になるし、
一人になれば、妄想に耽って悪だくみばかりを考える。
いつも友を求め、オトナの魂胆を見抜いて、
誰と「ぐる」になればいいのか、こっそり決めている。
そんな少年の憂鬱な浪漫がたまらない。”


(松岡正剛校長著『少年の憂鬱 千夜千冊エディション』 前口上より)

 

【松岡正剛オシな若きメンズの生態 アーカイブ】

(1)推し活の始まりはいつ?

(2)自分のなかの“松岡性”をクロニクルに見出す

(3)松岡正剛校長のイメージ:「たくさんの校長」とは?

(4)ズバリ松岡正剛のどこが好き? (現在の記事)

]]>
https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-4/feed/ 0 47088
ニューお題、留まることなくNEXT STAGEへ【79感門】 https://edist.ne.jp/just/79kanmon_newodai/ https://edist.ne.jp/just/79kanmon_newodai/#respond Sun, 18 Sep 2022 21:00:36 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=47547  第79回感門之盟の直前、学林局からのお題がイシス中に放たれた。

守の編集稽古38番に加えたい「お題」を考えてみましょう。この先どんな未知へと向かいたいか?ぜひ「新お題」に想いを込めてください。

 編集稽古を身体に通したことがある者であれば見過ごせないはずだ。大切にしたいものだけに、畏怖の念を感じて手が出なかった面々も多かったことだろう。

 集まった「39番目のお題」の選りすぐりを紹介するパートは「ようやくニューお題コーナー」と名づけられ、感門之盟の2日目に49[守]師範の大澤靖永、学林局律師の八田英子により、勇猛果敢な5人の挑戦者によるお題が紹介された。この二人が揃って、単なる紹介で終わるはずがない。ところどころ校長、松岡正剛も交じり、愛情いっぱいの問感応答返が立ちあがった。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【鏡のステキ】

 49[守]八段プラモデル教室学衆 武内一弘さん   

  

 「鏡というツールに着目したのはとてもいい。より発想を膨らませていくためには、編集方針を想定しておくことが必要」と大澤の辛口指南が飛んだ。武内のお題は、普段は覗き込む鏡を「の」の字的に転換して、自分が鏡になって世の中を見てみようというものだ。校長からは「鏡がなぜ映るのか?ジャック・ラカンはなぜ鏡像というのか?もっと深められるよ」と新たなお題も課された。

 

【秘め事すっぱ抜き】

 48[破]点閃クォート教室学衆 山内貴暉さん

  
 はにかみと共に「幼い頃にポケットにしまい込んでいた一番のお気に入りはゴミ箱から拾ったプラチナ万年筆のカートリッジ」と「秘め事」を明かしながらお題を紹介したのは山内だ。既に林頭の吉村から指南を受けて完成したものだった。「幼い頃のこだわりに編集の原点がある。ネーミングだけでなく手続きについても考えてみるとよい」と大澤が更なる指南を加えた。「いいお題だよ」と校長の顔がほころんだ。

 

【絵画の中の探検】

 48[破]点閃クォート教室師範代 大濱朋子さん

   
 「この絵の中にどのようなものが見えますか?皆さん、あげてみてください」と大濱が問いかける。積み木、おたまじゃくし、フクロウ、樹皮、、、と参加者が意気揚々と回答をあげた。取り出した情報を型で分けて繋いで物語に仕立てていくところまでがこのお題。編集学校には未だないビジュアルお題にチャレンジした大濱に、大澤から「注意のカーソルの動きのトレースをビジュアルで取り組むのは有効」と称賛が贈られた。

 

【有り物借り物三品フリマ】

 21[守][破]てれすこホルモン教室、23[守][破]万遊クラウド教室、

 28[守]キャラバン海豹教室師範代 大沼友紀さん

  
 「49[破]の『ちちろ』、50[守]の『吉里吉里』、私の『ススキ』の3つを合わせて、秋の夜長を過ごすセットをフリマします」と大沼。49[破]の教室名50[守]の教室名、自分が考えたもの、3つを掛け合わせて、フリマへの出品するというお題だ。感門之盟初日に発表された教室名を早速借りる大沼のカマエにのり「イシスでは借りることを推奨。仲間の回答をどんどん借りて、別の場所で返す循環をつくっていこう」と八田が集った学衆たちを煽った。

 

【教室風味の本だし】

 48[破]番匠 野嶋真帆さん

  
 「外国人がドイツ語と初めて触れたときの驚きを書いた『エクソフォニー』(多和田葉子著)にヒントを得て」という野嶋のお題は、教室名を扱う。出会った当初のビビッドな印象を型で取り出して、本の構造に当てはめる。不思議な教室名から動き出すプロフィールを掴まえて、メディエーションした本からは新たなイメージが浮かぶはずだ。
 千夜千冊エディション『読書の裏側』を見せながら発表した野嶋に、校長からおまけお題が出題された。「『読書の裏側』の口絵に潜んでいるお題わかる?この一冊だけ変えているんだよ」。皆さん、お分かりだろうか?

  

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 イシスでは、お題には3つのタイプがあると言われる。「与えらえた問題」、「発見する問題」、「作り出す問題」である。編集稽古は、与えられたお題に応えていくことからスタートする。しかしながら、いつまでもそこに留まるのではもったいない。コーナーの最後に、大澤と八田が新しいお題づくりのヒントを提示した。「卒門や突破に向かう過程で、プロフィールがたくさん動く。ターゲットにたどり着かなかったものほど大切にしてほしい」と異口同音に話す。その残念にこそ、新たなお題の仮説が潜んでいるからだ。更に「イシスが培ってきた”人”財産を活かせば、それぞれが『わたし』の地を増やしていける。自分事に留まらないお題をつくっていこう」と八田が促せば「お題の中に全てがある。稽古をしながら、常に自分と社会を接続して考えておくこと」と大澤もヒントを大盤振る舞いした。

 

 この秋、イシス編集学校は、ようやく記念すべき50[守]を迎える。人生や仕事にはもちろん、才能を大きく磨きあげるためにも「お題」は必須。実は、私たちにとっての「お題」は既にそこかしこに潜んでいる。あとは見つけにいくだけ。50[守]には、あなたの注意のカーソルの向きを変えるべく、38のお題、いや39番目のお題も待っている。

]]>
https://edist.ne.jp/just/79kanmon_newodai/feed/ 0 47547
松岡正剛校長のイメージ:「たくさんの校長」とは? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(3) https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-3/ https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-3/#respond Sun, 18 Sep 2022 02:15:11 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=47085 イシス編集学校にひとつのウワサがある。最近、“松岡正剛校長Loveな若手メンズが編集学校に急増しているらしいエディスト編集部ではそれらしき3人の若手メンバーにひとまず話を聞いてみることにした。すると、水を得た魚とはこのことか息つく暇なく口をついて出てくるのは、松岡校長や編集工学へのあくなき思慕、秘めた思考や連想だった。 

そこで場を改め、2022年8月某日、若きメンズの熱量と独自のアナロジーの源泉はどこにあり、どこへ向かうのか。その生態を紐解くべく、オンライン鼎談の場を用意した。

 

連載3回目は、松岡オシ若手3人衆がイメージする「たくさんの松岡正剛校長」の姿と、彼らの想いに迫る。

 

(聞き手:エディスト編集部 上杉公志、マツコ 

バックナンバー

推し活の始まりはいつ? ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(1)

自分のなかの“松岡性”をクロニクルに見出す ──松岡正剛オシな若きメンズの生態(2)

 

 

マツコ 今回は、松岡Loveなイシス若手3人衆がもつ松岡正剛校長のイメージをあの手この手で聞き出しています(笑)。事前に「たくさんの松岡正剛校長」のイメージをあげていただきました。 [守]の稽古をもとにした応用お題でした。お一人30個もつくってくださったんですよね。難しいお題でしたか?

 

山内 僕はポンポンと次から次へとイメージが出てきたとしても、出しちゃいけないんじゃないかっていうか。安易な回答を許してくれないんじゃないか? 僕の中の正剛像が「僕はそんなんじゃないよ」とツッコミを入れるんです。それは奥では同じことを言っていないか?とか、派生して何か言えないのか?とか、そういうツッコミを感じながら考えました。

 

網口 僕の場合、アタマからたくさんの松岡正剛を素で出したら、山内さんと加藤さんを置いてきぼりにしてしまうほど、宇宙のかなたにいってしまいそうで(笑)、今回は著書を下敷きにしました。『危ない言葉』『切ない言葉』から松岡校長の言葉を読んで、ちょっとだけ自分のイメージをスパイスに加えました。基本は松岡さんの言葉を借りた3人で話したいイメージです。

 

『危ない言葉』表紙『切ない言葉』表紙

松岡正剛著 『危ない言葉―セイゴオ語録〈1〉』、『切ない言葉―セイゴオ語録〈2〉』

 

加藤 そうですね、ポンポン出すようなものではないことは分かっていたし、校長のツッコミみたいなものも僕も感じつつやりました。どちらかというと、まっさきに「虫である」が思いついたんです。ただ、そんなに今、自分が友達みたいに知と交われているのか? 校長がおっしゃる方法と本当に交われているのか、それとも自分は調子に乗っているだけなのかが分からなくて(笑)、今は虫って言えないよと思いました。

網口さんから、校長とはグー・チョキ・パーであるとの話もありましたが、僕は組織的なところにイメージを落としこみたかった。たとえば、「一は多である」というように言いたかったんです。校長は「1」ですが、ひとりは群れでもあるというか。校長は群れである。そんな風に言いたかったのですが、まとまりづらかったですね。

 

マツコ そういう側面も校長にありますねぇ。せっかくなので、それぞれ自分で作った校長を表す30個のフレーズからおススメをひとつ選んで、みんなでイメージを語りあってみましょうか。

 

網口 僕は、「松岡正剛校長は好みに面と向かって総力をあげる切実である。」で。
これは松岡校長が書かれていた言葉そのものなんですが、まだ分かったようでわかりきっていないので、皆さんと話してみたいフレーズです。

 

加藤 僕は「松岡正剛校長は東欧の不良たちが眠る夜行列車である。」にします。

 

マツコ あー、これも聞いてみたかったひとつです。

 

山内 僕は「松岡正剛校長とは、深夜3時の菫色反応(キンショクハンノウ)である。」で。

 

網口 聞いてみたかったヤツですね。

 

マツコ では、網口さんのイメージについて、まずいってみましょう。

 

 

■イメージ1:

「松岡正剛校長は好みに面と向かって総力をあげる切実である。」(網口渓太 作)

 

網口 僕らは21世紀の資本主義社会で生きていかないといけないですが、“ほんと”も“つもり”も、僕は好きじゃないんです。でも、生きていかないといけない。とすると、これは自分なりの世界をつくらないとおもしろくならないという切実な気持ちがあります。この根源にあるのは「好み」。特にそれは幼心で自分がやっていたことだと思うんですが、校長が好みを大事にしているところがいいんですよね。

 

網口渓太

 

山内 「好み」と聞くと、「数寄」を思います。数寄については、千夜千冊『予想通りに不合理』(1343夜、2010年1月25日)にも、校長が“まさにぼくの人生は「編集数寄」である”という風に書かれています。例外者になるというか、グローバル化が進み、誰しもが同じような画一的な好みになっていく中で、自分の好みをどう形成し、そのなかで社会的な関わりを保っていけばいいのか?ということを感じています。

 

網口 師範会議で、松岡校長が、みんなに数寄の話をしてほしいといわれるが、この「数寄」をとらえるのが難しいとおっしゃっていました。なので、松岡正剛校長の多少の残念な気持ちを引きとって、数寄や好みを皆さんと語りたいし、自身も「好み」を大事にしたいと思っています。

 

山内 数寄というのは、個人的には面影とうつろいに関係があると思っていて。すいていくのは、『日本という方法 おもかげの国・うつろいの国』にあるように、余白を持つ山水思想のことで、引き算されていったそこには東洋的な無やニヒルではなく、日本的に移ろっていく何かが残っていく。つまり、そこに面影が出る。そんな感じで、数寄は、方法日本とつながっていると勝手な仮説をたてています。

 

上杉 「数寄」についてはツッカム正剛40夜を見るのもいいですよ。松岡校長が数寄屋造りの建築家である三浦史朗と対談をしています。

加藤 僕も仮説を広げたがりですから(笑)、[破]を突破できていたら何でも言っちゃうんですけど……

 

マツコ 気にしないで広げていただいていいんですけれど(笑)

 

上杉 そうですよ、このメンバーなので溜まっていたものも話していただいていいですし。むしろ遊刊エディストは、それこそ数寄を切実に表現することがないと成り立たないメディアでもありますしね。

 

加藤 いいんですか? じゃあ…、自分は切実という言葉と、近しい人の死が重なるイメージがあります。好みに面と向かって総力を挙げる、切実であるというのは、校長らしいと思います。数寄というものが、思考や存在と呼ぶべきものの最小単位のようなものかと思うんです。

実は、思考は型だけで実際に動くのかなと考えていたんですよ。38の型や千夜千冊エディションの『編集力』でも“編集力A○○”などと書かれていたりしますが、それを実践しようと思った時に、型と実践のあいだにあるものってなんだろうと。例えば、「アブダクション」とか「アフォーダンス」を読んで自分でもやろうと思ったら、「数寄」というものの最小単位によって、型のあいだを埋めているような気がするんです。数寄が型のあいだで動いているような感じでしょうか。

 

網口 このフレーズからは松岡校長の編集学校への想いを感じます。仕事は目的があって、好きでなくても達成しないといけない。一方、遊びは、遊ぶこと自体が目的になっていてプロセスを遊ぶということだと思います。だから校長は、編集学校が目的を達成することに方法を使ってほしくなくて、編集学校は世の中に迎合せずに、遊びで方法を使ってほしい気持ちがあるんじゃないかな、と仮説しています。

 

マツコ みんな仮説だらけですね。でも仮説を通じて校長に触れているんですね。では次は山内さんが選んだイメージを。

 

 

■イメージ2:

「松岡正剛校長とは、深夜3 時の菫色反応である。」(山内貴暉 作)

 

山内 菫色反応というのは、『タルホ=セイゴオ・マニュアル』に出てくるものです。分光器に光を通した時に、『理科の教科書』にもありましたが、赤橙緑青藍紫というように、紫色に向かっていくんです。稲垣足穂がそれを見て、自分の端っこに向かって光が進んでいく、それがええじゃないかと言った、というエピソードが出てきます。

それと、自己の破綻に向かって進んでいくという解釈があって、(とんでも仮説かもしれないですが)ハイデガーの存在学につながるところがあると思っています。近さの中に入っていくことは、ぼやけた自己の淵に向かって進んでいく感覚があるんじゃないかと。

 

マツコ イメージがあふれますねw

 

山内貴暉


山内 それから、菫色はすみれ色、紫ですが、たばこのことは紫煙ともいいますし、安寧にではなく常に自分にないところに向かっていき、HereからThere、既知から未知に進んでいく校長のイメージをフレーズにしました。

それと、『情熱大陸』(MBS/TBSテレビ、1998年〜)を見たことがあるんですが、松岡正剛とは何かと聞かれて、常に既知が3,4割。未知が6,7割で構成されたものだと。これが、先ほどの網口さんのお話で、得意なことを手渡していく、既知を手放して未知に向かうことに通じると思いました。

 

網口 松岡校長の方法って、しゃべっていると楽しくなってきますね。やっぱり元気が一番だな(笑)

 

山内 もうひとついいですか? 最近『棟梁』という千夜千冊(1561夜、2014年10月30日)を読みました。その中に、“ここらでいいか”という感覚は甘くて、一歩進んで新たな方法をみつけないと。新しい方法があるかどうかで物事をやるかどうかを決めると書かれていました。留まるところを知らないでいてほしい。常にたばこをふかしてほしいということも、込めた思いです。

 

マツコ たくさんの千夜千冊や著作から松岡校長を仮説している山内さんが、ナマの校長に会う瞬間がまた楽しみですね。では、最後は加藤さんの描いたイメージですね。

 


■イメージ3:

「松岡正剛校長は東欧の不良たちが眠る夜行列車である。」(加藤陽康 作)

 

加藤 ひとつみなさんで音楽を聴きたいんです、これです。「松岡正剛校長は東欧の不良たちが眠る夜行列車である」は、この音楽を聴きながら連想したイメージです。

 

 

マツコ ふーん、かっこいい曲ですね。

 

加藤 僕のイメージの中で東欧って、派手な色があまりない、ばらつきがある感じ。ばらばらかげんのものを携えて高速で走り去っていくみたいなことがいいと思うし、松岡校長っぽいなと思うんです。
手元で遊べるような何もないような小さなものから、街全体や今までの歴史などの大きなものまで、すべての遊びを含めて高速で容赦なく駆け抜けていく校長のイメージが、この曲に似ていると思いました。一人遊びだとしても、自分の中に複数人いることを想定して校長は一人遊びするというか、校長はひとりでやっていると到底思えなくて、むしろはっきり組織的だなと思います。

 

加藤陽康

 

上杉 加藤さんの話を聞いていて、校長が話していたことを思い出しました。それは、松岡校長は書くときに「スピード」を大事にしているということです。ひとつは、複数走らせること。仕事は5倍する、忙しいほど5倍にするとおっしゃいますが、例えばある千夜を書いていてスピードが落ちてきたら別の千夜の原稿に乗り換える。さらに、自分だけでなく他の人の勢いを借りる。他にも、松岡校長は一つの千夜でも最低5回は赤入れをするんですよね。これもスピードをあげるひとつのコツのようです。1回手放して、日を改めることで、前日とは違うスピードで編集を入れられる、というわけですね。

 

網口 上杉さんの話に重ねると、校長は遊の時代から、自分の得意なものは別の人に託すとおっしゃっていました。数理哲学が校長の得意なら、それは近くの十川治江さんに託して、自分は苦手なものをやっていくということがエンジンだと。

 

上杉 それらのエピソードが夜行列車のイメージに通じるなと思いましたし、今でも松岡校長は深夜に執筆をなさっていますし、山内君もつかまえた“夜”な感じがあるし、不良感もあるし。加藤さんがつくられたイメージがピタッと来ました。

 

マツコ では、最後に、20代〜30代の若きメンズがどんなふうに校長を見ているのか? 3人がつくった「たくさんの校長」のなかから、ご自身が選ぶBest5をご紹介します。

 

◆網口渓太 作「たくさんの松岡正剛」5選
 松岡正剛校長は矛盾や葛藤を抱えていた不得意領域への挑戦者である。
 松岡正剛校長は脳内にバロックホールを持つ修道院図書館である。
 松岡正剛校長は「が、そこが、いい」が言える目利きである。
 松岡正剛校長は好みに面と向かって総力をあげる切実である。
 松岡正剛校長はよく遊び、よく学び、よく編集するイシス編集学校の校長である。

 

◆加藤陽康 作「たくさんの松岡正剛」5選
 松岡正剛校長はヒップな噂話である。
 松岡正剛校長は東欧の不良たちが眠る夜行列車である。
 松岡正剛校長は言語道断である。
 松岡正剛校長は深ける者である。
 松岡正剛校長は近所の不思議なおじいちゃんである。

 

◆山内貴暉 作「たくさんの松岡正剛」5選
 松岡正剛校長とは、お月様がポケットの中に入れた月である。
 松岡正剛校長とは、深夜3時の菫色反応である。
 松岡正剛校長とは、体系を逸脱した戦闘的断片である。
 松岡正剛校長とは、際疾い賊に際立つ侠である。
 松岡正剛校長とは、永遠の工事中である。

 

 

マツコ 「数寄に切実、深夜3時に紫の煙をまとい、東欧を走り抜ける夜行列車な不良たち」。 えっと、そんな校長、どんなや?!(笑) 3人の仮説もイメージも無限に広がって、「チームYADOKARI」の結束も深まるトークでしたなぁ。 あ、ちなみに、みなさんは「チームYADOKARI」のメンバーだということなんですよね? YADOKARIって、なんですか?


松岡談義はつづく……

 

次回は本連載の最終回。

松岡オシ若手3人衆「チームYADOKARI」が松岡正剛を理解するためにいそしむ推し活、そしてズバリどこが数寄?に迫る。

 

 

【松岡正剛オシな若きメンズの生態 アーカイブ】

(1)推し活の始まりはいつ?

(2)自分のなかの“松岡性”をクロニクルに見出す

(3)松岡正剛校長のイメージ:「たくさんの校長」とは?(現在の記事)

(4)ズバリ松岡正剛のどこが好き?

 

]]>
https://edist.ne.jp/cast/young-gen-favors-matsuoka-seigo-3/feed/ 0 47085